みじんこ総研では、多数の感染防止技術を提案しております。これらの技術は、コロナウィルス感染拡大の抑制に非常に大きな効果をもたらすものであると自負しております。


紫外線長光路殺菌システム

 紫外線を平行光に変換し、平行光の光路と殺菌対象の空気の流路とを一致させることにより、流路中の空気に高密度のエネルギーを持った紫外線を継続的に照射させ、強力かつ確実な空気殺菌を図ります。(特許出願中)
小出力の小型の光源であっても、強力な殺菌効果が期待できます。

紫外線長光路殺菌システム 空調ダクトへの導入例

 電気機器を構成する他、還気または給気ダクト内に設置し、空調による還気系統を殺菌することができます。
その他、室内の造作の一部として、安全な室内空気の殺菌システムを構成することもできます。

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空調換気設備による感染防止

 みじんこ総研では、感染防止を可能とする空調換気方法の確立が喫緊の課題であるものと捉えており、考え方や具体的な解決方法について、提案・提起しています。

コロナウィルス感染防止のための事務所のレイアウトと空調換気システム
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ウィルス遮断マスク

みじんこ総研では、ウィルスをほぼほぼ遮断できる(であろう)マスクを、2種類、考案しました。
これらは、「超高性能フィルタ―マスク」と、「気流帯電マスク」と言います。
このご時世、「ウィルス遮断可能」だなんて、胡散臭いでしょうか。

ウィルス遮断マスク-静電気起電帯電式 ウィルス遮断マスク-N95 N99 N100

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超高性能フィルタ―マスク

 濾材の透過面積を拡大する構造により、空気の透過抵抗が大きくマスクには使用できなかったクリーンルーム用フィルタ―等の使用を可能にし、超高性能な性能を実現するマスクです。(特許出願中)

 この構造を用いると、呼吸時の抵抗を劇的に低減することができるため、従来のN95, N99, N100といった高性能マスクの長時間着用も可能となり、さらに、クリーンルーム等に用いられるULPA等の超高性能フィルタ―を使用したマスクをも実現できます。

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 微粒子を捕集できるN95等の高性能マスクは、気流の透過抵抗(圧力損失)が大きいため呼吸が苦しく、医療従事者にとっても長時間の着用は困難と言われてきました。

 みじんこ総研が考案した「超高性能フィルタ―マスク」は、この透過抵抗をわずか数分の1にまで低減して長時間着用することを可能とし、さらに、従来、マスクには使用できなかった、ULPA(病院等の高度な感染防止区画の空調設備に使用するHEPAを超高性能にした、ウィルスもほぼ遮断可能と考えられるフィルタ―)等の濾材を適用することも可能にしたマスクです。



このように、疲れずに長時間着用でき、ウィルスのほとんどを遮断できるマスクなら、とりわけ医療の現場では、革命的に状況を改善できるのではないでしょうか。

N95マスクとは?

N95マスクって聞いたことあるけど、そもそも美味しいの? 旬やおすすめの食べ方は?
このような疑問をお持ちの方への回答を簡単にまとめてみました。

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 連日のコロナウィルス関連の報道により一般に知られるようになったN95というマスクですが、元々は粉塵の発生する作業に用いられていたもので、その性能の高さにより、医療の現場にも適用されるようになったものです。
米国の基準によるもので、約0.3µm以上の粒子を95%以上捕集する等の要件があります。この要件だけでは、0.1µmというコロナウィルスの遮断まではできなさそうですが、実際にいくつかの製品をテストすると、この程度の大きさの粒子は捕集しているものが多く、コロナウィルスに対しても有効であると認識されているようです。

 しかしながら、N95マスクは、フィルタ―の目が細かく気流が透過しにくいため、呼吸が苦しくなり、長時間の着用が困難であると言われています。このため、一般人がコロナウィルス感染対策としてN95マスクを求めるものではない、とコメントする、医療関係者のインタビューを視聴した方も多いかと思います。
(そもそも品薄で入手できないのでしょうけど)

 尚、フィルタ―の粗い繊維に対し、細かい粒子がなぜ捕捉されるかという原理が解説されることがあります。粒子の運動の要素・要因には、濾材を透過する気流による直線運動や渦流、慣性、重力、静電気力の他、ふらふらまたはピコピコもしくはシャカシャカするブラウン運動があり、直線的な動きではないわけです。いずれにせよ、森の中で球技をするようなもので、木々の隙間がボールの径より圧倒的に大きくとも、もっさりした森の木々のどれかには遮られるのと同様でしょう。このようにして遮られた粒子は、繊維に吸着して捕集されます。


超高性能フィルタ―マスクの原理

 みじんこ総研は、フィルタ―を重層させ、濾過部分全体の面積を大きくすることにより、呼吸を楽にするマスクの構造を考案しました。
これは、フィルタ―の面積が大きくなるほど、透過する空気の抵抗(圧力損失)は小さくなることによるものです。


N95(N99,N100)を使った超高性能フィルタ―マスク

既製品のN95(N99,N100)を通気シートを挟み重ねることにより作成できる超高性能フィルタ―マスクです。

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「超高性能フィルタ―マスク」は、様々なフィルタ―で構成できますが、N95(N99,N100)マスクを重ねることによっても実現できます。
この場合、単体のN95(N99,N100)に比較して、濾過性能が大きく向上するわけではありませんが、呼吸時の抵抗は大幅に抑制することができます。
※濾過性能は、相対的にはむしろ低下するかも知れません(実際は、濾過面積が増えた分面風速が低下するため全体として向上する可能性もありますが)。しかし、そもそも濾過性能が高いため、多少の低下は使用の容易さに比較するとそれほど問題ではない場合が多いのではないかと考えます。

ミッキーのコスプレではありません

既成のN95(N99,N100)マスクは薄く成形されているため、重ねてもあまり嵩張りません。
しかしながら一定の厚みとなるため、可愛さが演出されるようです。

ここでは、3枚のN95(N99,N100)を用いた構造を示しています。
3枚のN95(N99,N100)は、連続気泡樹脂(スポンジ状の多孔性樹脂)やフェルト等による通気シートを挟んでいます。

N95(N99,N100)を用いた超高性能フィルタ―マスクの構成組立図

 この通気シートは、N95(N99,N100)同士のスキマに、自由に空気を流すことができます。
このうち1枚は中央に、もう一枚は外周に、エラストマーや低反発性弾性素材が浸潤されて気密パッキンを形成しています。この気密パッキンは、重ねたN95(N99,N100)同士を密着させて空気が漏れないようにしています。
一番外側のN95(N99,N100)は中央に排気弁付のものを使っており、その他は中央に通気孔が開けられています。

 着用者の口元の空間、外部空間、通気孔内および通気シート面内は、自由に空気が流通できるため、これらが接続し合う部分は、互いにおよそ等圧となります。
 およそ等圧となる空間は、下図に示した、紫色の範囲と水色の範囲に分かれます。

N95(N99,N100)を用いた超高性能フィルタ―マスクの着用時の気流

 図での紫色の範囲と水色の範囲は、N95(N99,N100)や気密シールにより隔てられていますが、外気側にあたる紫色の範囲の空気は、着用者の口元側にあたる水色の範囲の負圧(吸引による圧力)により、N95(N99,N100)を透過して吸い込まれます。

 このようにして外気はN95(N99,N100)を透過して濾過され、清浄空気となるわけですが、
外気は重ねられた3枚のN95(N99,N100)を並列的に透過し濾過されるため、同じ圧力で濾過できる空気の量は、1枚のN95(N99,N100)に比べ、約3倍となります。また、着用者が必要な一定の量の空気を吸引する際、外気がN95(N99,N100)を透過する速度(面風速)は約1/3となります。
このとき、空気がN95(N99,N100)を透過する際の抵抗(圧力損失)は、約1/3~1/9(流速と繊維構造によるが風速の1~2乗に比例)となり、着用者にとって、一定の量の空気を吸引するのに必要な力やエネルギーは、大幅に低減できる、ということです。

N95やN100等の呼吸を劇的に楽にするマスク

 尚、排気弁付のマスクは、一般に、外部から着用者への感染を防止するものであり、積極的に着用者本人から他者への感染防止を図るものではありません。少しでも着用者の呼吸を楽にするため、排気弁を用いて、ほとんど抵抗なく呼気(吐き出す息)を外部に排気するものです。とはいえ、マスク全体で着用者の咳やくしゃみによる直接の飛沫の多くは遮断できるため、着用者からの感染防止の効果も一定程度はあるものと思われます。また、マスク内口元側にガーゼ等をあてがい、着用者の呼気中の飛沫を一旦遮断し、また、マスク内の湿度を調湿できるようにすると良いかもしれません。

HEPA/ULPAを使った超高性能フィルタ―マスク

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 上記のように、濾過部分の面積を大きくすることで、空気の透過による抵抗を低減することができますが、これにより、従来マスクに使用できなかった、クリーンルームなどに用いられるULPA等の超高性能濾材を用いたマスクを構成することが可能となります

 耳にしたことがあるかも知れませんが、空調用高性能フィルタ―であるHEPAは、High Efficiency Particulate Air Filterの略で、JIS規格により、0.3µmの粒子を99.97%以上捕集でき、初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルターと規定されております。捕集される粒子径の要件はN95(N99,N100)同等ですが、捕集される割合の要件は大きく異なります。実際の粒子の捕集能力は不明ですが、HEPAを使用しているというマスクは多数あります。
 HEPAをさらに高性能にした、ULPA(Ultra Low Penetration Air Filter)の場合、0.15µmの粒子に対して99.9995%以上の粒子捕集率と規定されています。この規格を満たすだけで、ウィルスもほぼほぼ捕集できると考えられます。以前は家庭用の空気清浄機にもULPAを使用したものがあったそうですが、オーバースペックすぎて需要が無く、撤退したようです。

 ULPAは、高度なコンタミネーションコントロールを行うクリーンルーム等の空気清浄に用いられます。一般に、圧力損失が大きい為、高静圧ファンが必要となります。つまり、空気の透過による抵抗が大きい為、人力で呼吸を行うマスクでの利用は困難ですが、「超高性能フィルタ―マスク」により濾材の面積を大きくすると、マスクに適用することが可能となります。

HEPA/ULPAによる構成例①

HEPA/ULPAを用いた超高性能マスクの構成例

 装着ネットを使ってフィルタ―ユニット全体で口元を覆うように装着します。
上図では、説明のため、上下端部が切りっぱなしのような絵になっていますが、クリップで閉じる構造とすると、分解して簡単にメンテナンスができるようになります。

HEPA/ULPAを用いた超高性能マスクの着用時の気流

 この例では、一体的なフィルタ―を折り返して4層の濾過層を構成しています。

HEPA/ULPAによる構成例②

HEPA/ULPAを用いた超高性能マスク/顔にフィットする形状に仕立てた例

 カットした複数毎の濾材により成形した例です。ULPAによる濾材は強度が小さいため、平面的に重層させて構成したものを曲げて口元にフィットさせるより、複数の部分に分割したシートを接合し立体成形する方が適切と考えられます。また、バインダーとなる他の繊維で補強すると良いかも知れません。

HEPA/ULPAを使用する場合の共通事項

グラスウール製の濾材を用いる場合、繊維が肌に刺さる事を防止するため、通気フィルムやバインダー素材で覆うなどして、繊維が直接着用者の顔に触れないようにします。また、着用・呼吸などの動きによりグラスウールを飛散させない処理が必要となります。このように、着用者等に健康被害を生じさせない為の十分な対策と検討が肝要となります。


気流帯電マスク

着用者の呼吸による気圧変化を利用して静電気を起電し、フィルタ―を帯電させて粒子を吸着させるマスクです。(特許出願中)

アルミシートやアルミメッシュを裏打ちすることにより、コンデンサーを形成し、安定した電界を維持することができるものと考えられます。
また、アルミに代えて、真鍮の網とすると、フィルタ―の殺菌効果が期待できそうです。(何と、明治時代の日本のマスクの芯材に真鍮の網が用いられていたそうです。)

※フィルタ―を帯電させることにより、原理的にはウィルスのような微細な粒子でも吸着可能と考えられますが、静電気の分野では解明されていないことが多く、実用化には検証や一定の研究開発が必要と考えています。

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電気による粒子の捕集について

空気中の粒子は、クーロン力という、物質に帯電した+-の電荷同士が引き合う力を利用して捕集することができます。
ここでは、現在利用されている、電気による粒子の捕集装置についての概要と原理、そしてこれまでの、電気による粒子の捕集効果を図ったマスクの現状と課題について解説します。

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 化学プラントの排出ガスの濾過などに用いられる、電気集塵機というものがあります。これは、針先などに高圧の電圧を印加してコロナ放電を発生させ、気流に乗って周囲を通過する粉塵を帯電させることで、下流側の電極に対してクーロン力を発生させ、吸着させるものです。 濾材によるエアフィルターと異なり、微粒子まで除去できますが、一般に、非常に大掛かりな設備となります。

 これに対し、コロナ放電の代わりにイオナイザーで粒子をイオン化させて電極に吸着させるコンパクトな装置もあり、一般的な空気清浄機の方式の1つとしても普及しています。

 しかしながら、いずれの方式も高電圧を必要とするため、電源や変圧器、放電の装置等必要となり、マスクに適用するには、大掛かり過ぎてしまいます。

 ところで、電界の中を漂う粒子は、上記のようにコロナ放電やイオナイザーにより印加しなくても(クーロン力は小さくなりますが)、正負いずれかの電極に引き寄せられます。

 粒子は元々正負いずれかに帯電していたり、強い電界の中では誘電分極により表面に電荷が現れるため、その反対の極となる電極に引き寄せられ、吸着されます。

 この原理を利用した、静電気フィルタ―というものがあり、マスクにも多用されています。これは、電源を用いて電界を生み出すのではなく、エレクトレット(電石)という、帯電した静電気を磁石のように固定させる、かつて日本で開発された技術を用いて作られた、不織布を使うものです。マスクに適用された場合、「静電気マスク」などと呼ばれることが多く、沢山の商品が市場に出回ってていました。
 ところが近年、静電気フィルタ―の静電気による粒子の捕集能力は、実はそれほど高くない、という実証実験データが出ており、市販マスクが謳う捕集能力等の文言の信頼性についても、消費者庁などから注意喚起がされるようになってきました。
実際、現在、マスクの有効性について議論されているのは、使い捨てのサージカルマスク、N95、そして布マスクばかりです。
捕集能力が高い製品であっても、エレクトレットによる要因よりも、繊維の遮断効果による要因の方が相対的に大きかったりするようです。
 このように、エレクトレットフィルタ―による粒子の捕集能力が高くない理由について、みじんこ総研では、エレクトレットによる繊維の表面電荷は、一般に極大値が2~300V程度で、粒子を吸着しても保持能力が弱いためではないか、と考えております。さらに、静電気フィルタ―は、界面活性剤により洗浄すると、電荷が喪失される、というデメリットもあります。

 結局のところ、電気によりウィルスを捕集できるマスクの有効性は認められていない、ということになるかと思います。


気流帯電マスクの基本的な原理

 上記のように、電気による粒子の捕集方法を踏まえ、みじんこ総研が考案したのは、着用者の呼吸の気流により静電気を発生させてフィルタ―に帯電させ、粒子を捕集するという機構を持ったマスクです。

 静電気は、異なる種類の材質同士を摩擦させるなどにより起電されますが、帯電される静電気は、実は数千ボルトにも達します。
 指先などから放電されるとパチッときて痛いのはご周知の通りですが、産業分野では、電子回路を破壊したり、生産ラインに影響を与えるため、静電気除去のための対策が施されます。ガソリンスタンドでは、静電気除去パッドに触れることは、静電気による引火防止のため、とても重要となります。
 このように、静電気は、通常あまり歓迎されません。
 しかしながら、反面、ダスター(ハタキ)や化学モップなどは、パタパタやって静電気を発生させることにより、埃を吸着させて掃除するもので、高電圧となる静電気を上手に利用しています。

 みじんこ総研が提案する気流帯電マスクも、高圧の静電気を帯電させ、空気中の粒子を捕集しようというものです。
 皆さんがいつも付けているマスクの、あの煩わしい「バフ、バフ...」という動きなんかを利用し、帯電しやすい組合せの繊維でできたフィルタ―を刺激して静電気を起電させます。

 静電気を用いるため、一定の低湿環境での使用が主となります。一般に、湿度が40%以内の時に静電気が起きやすいと言われていますが、実際のところ、帯電量および得られる電圧・電界の強さは、起電と放電のバランスによるため、一般の空調環境であれば、人体に感じない電圧となる場合(1kV以下の静電気は人体では感じないと言われています)を含め、必要な電荷を帯電できるものと考えています。
 しかしながら、呼気(吐く息)は水蒸気を大量に含むため、帯電させるフィルタ―を透過すると、フィルタ―に帯電した静電気が空気中や湿った材質表面を伝って逃げてしまいますので、呼気は基本的にガーゼで一旦濾過して外部に放出させる構造とすることを想定しています。
 尚、高湿環境で利用可能なタイプも考案しておりますが、若干構造が複雑になります。

完全気密の起電機構により高湿環境で利用可能なタイプ


起電部の材質

 +に帯電しやすい材料と、-に帯電しやすい材料同士を組合せ、接触・剥離を繰り返させたり、摩擦させることにより、静電気を発生させることができます。具体的には、一方に正に帯電しやすいウールやナイロン、他方に負に帯電しやすいポリエチレンやポリプロピレンなどを組合せます。

 フィルタ―は、マイクロファイバーにより構成すると、物理的な粒子の遮断効果も大きく、効果的と考えられます。また、これらの帯電しやすい材質を組み合わせた混紡を用いると、フィルタ―への刺激により、微視的に静電気が起電されるため、簡単な機構とすることができますが、ウィルスを吸着し保持するのに必要な表面電荷が得られるかは検証が必要と考えます。

起電部の機構

 着用者の顔を覆うダイヤフラム部を、着用者の呼吸による圧力変動を受けて膨張収縮させます。
 これにより、起電させる材質同士を接触・剥離させるか、起電させる材質をダイヤフラムの面内に納め、相互にせん断方向に移動させ、摩擦させることにより、起電させることができます。

以下に、具体的な静電気の起電の機構について説明します。

接触剥離機構

 静電気を発生させる材質同士を接触させ、圧迫および緩和を繰り返すだけで、繊維内では微視的に接触・剥離・摩擦が行われ、起電するものと考えられます。しかしながら、材質等の条件によっては、これらの材質同士を巨視的に接触・剥離させる方が有効に起電できる場合もあるかも知れません。
この場合、下図のように、起電させる材質の間に格子状などのスペーサーを挟み込むことで、通常時は材質同士を完全に離隔させておき、圧迫することにより材質を変形させて相互に接触させ、圧迫を解除することにより完全に剥離させる機構を構成することができます。
 ※尚、スペーサーの材質は、帯電しにくい中立的な絶縁体を使用します。

 これらの材質は、接触・剥離を繰り返すことで、静電気が起電され電荷が蓄えられ(帯電され)ていきます。
電荷が蓄えられることにより表面電荷/電位が上がり、これらの材質間での電界が強くなり、通過する粒子が吸着され捕集されます。


ダイヤフラム面内せん断摩擦機構

 静電気を発生させる材質同士にずれ合う運動をさせることにより、互いに摩擦し合い、静電気を起電させる機構です。

<基本的な構造>


模式図(断面)です。スプリングの絵で表現している部分はゴム紐に置き換えます。

 静電気を発生させる材質(フィルタ―材)それぞれについて、左右となる側辺の、一方を弾性材(ゴム紐)により、他方を非弾性材(ただの紐等)により牽引し、弾性材の位置が互い違いになるように(またはずらして)接続し、左右それぞれをまとめて牽引して保持します。
このように構成されたダイヤフラムに、図のように面外方向の外力を加えると、これらのフィルタ―材同士が互いにずれながら変形します。

図中の「但の」は「只の」に読み替えます。

 上図では、面外方向の外力により、ダイヤフラムを構成するフィルタ―材同士がずれることが解ると思います。外力を解除すると、2枚のフィルタ―材はゴム紐により、元の位置や位置関係に復帰します。

<二面の摩擦面を持つ構造>

一方のフィルタ―材が他方のフィルタ―材を包んでダイヤフラムを構成し、二面で摩擦し合い、起電させる構造の例です。

 上図のように、ダイヤフラムはAユニットとBユニットから構成され、Bユニットは左側を弾性体(「弾」と書いてある部分、ゴム紐など)で牽引され、右側を非弾性体(「固」と書いてある部分、伸びない紐など)で牽引されます。
 これに対し、Aユニットは、左側を非弾性体で牽引され、右側を弾性体で牽引されています。
これらの、牽引している伸びない紐やゴム紐について、Aユニット・Bユニット合わせて、左上、左下、右上、右下それぞれでまとめて牽引し、耳掛けや頭部に装着するストラップに接続します。


ダイヤフラムは、面外方向に変形させます。ぐーっ、て。

 ダイヤフラムは、着用者の呼吸による外力を受けて変形すると、上図のように、AユニットとBユニットの相互がせん断方向にずれ、摩擦し合い、静電気を起電します。※尚、この構造では、内側となるBユニットの表裏それぞれで同じ側の電荷を帯びることになりますが、誘電分極により相互に打ち消す作用も発生するため、材質や層の構造によっては不適となるかも知れません。


フィルタ―の基本構成

気流帯電マスクは、上記のような起電機構により静電気を起電するわけですが、静電気は、高湿の環境下では帯電されにくいため、水蒸気を多量に含む呼気(吐く息)については、基本的に、静電気を帯電させるフィルタ―で濾過させずに外部に排出させます。

 上図は気流帯電マスクのフィルタ―部の基本的な構成となります。
防湿シートにより、静電気を帯電させるフィルタ―と、着用者の口元を遮断し、防湿シートには、空気の流通を一方通行とした吸気弁のみを貫通させています。また、着用者の口元側には、ガーゼが当てがわれています。この構造により、着用者の呼気は、当該フィルタ―を透過せず、当該フィルタ―は乾燥状態を維持することができます。
※尚、吸気弁は、従来のN95(N99,N100)マスク等に付けられる排気弁同等の弁を逆向きに取付けたものとすることができます。


 静電気を起電させる材質(フィルタ―)は、起電する組合せの繊維を組み合わせた混紡とすることもできます。

 微細な繊維のレベルでの混紡とする場合、表面電位(極大値)が大きくならず吸着させた粒子の必要な保持能力が得られないかも知れません。しかしながら、混紡のマイクロファイバーから作られたダスター等による埃の吸着力には、微細な繊維による機械的な作用のみならず、起電し帯電させた静電気のクーロン力による作用が大きく影響しているのかも知れません。
 今後の研究テーマの一つです。

<マスク構成例>

基本構成としたフィルタ―を用い、上述のダイヤフラム面内せん断摩擦機構により起電させる構造とした例を示します。

 ここでは、防湿シートの代わりに面内方向がおよそ非圧縮となる弾性樹脂プレートを用い、呼気時に口元側の正圧によりマスクを外側にはらみ出させ、フィルタ―を構成する材質相互にずれを生じさせ起電させる構造を示しています。
 呼気については、着用者の口元を覆う口当てカップの側方から排出させていますが、別途、排気弁を設ける構造とすることもできます。また、着用者の咳やくしゃみは、口当てカップ内に装着したガーゼにより簡単に濾過され、飛沫は直接外部に放出しない構造としています。

導電シートの裏打ち

 静電気を起電させ帯電させる材質それぞれに、アルミメッシュやアルミ蒸着シートなど、シート状の導体を裏打ちすると、裏打ちされた導体同士がコンデンサーを形成し、より大きな電荷を蓄えられるのではないかと考えております。

 輻射熱の反射効果を利用する断熱用アルミシートを挟み込んだ毛布や敷物を複数枚重ね、間に異なる材質の毛布を挟んだりして使用することにより、強烈な静電気を発生させて痛い思いをした経験を持つ方も少なくないのではないでしょうか。ここでの導体を裏打ちする主な理由は、このような帯電の効果を狙い、強い表面電位や電界の形成を図るためです。

 アルミメッシュは空気を透過させることができるため、フィルタ―は、面外方向に気流を透過させ濾過する構成とすることができます。
尚、メッシュは導体表面積が小さいため、必要な帯電量が得られないかもしれません。この場合はワイヤーによるメッシュではなく、パンチメタル状のメッシュなどとします。

 上図では防湿シート上にアルミメッシュ層が形成されていますが、まとめてアルミ蒸着シートとすることができます。
このような構造は、起電させる材質を着用者の呼気から完全に遮断する場合や、専用の起電ユニットとして乾燥空気と共に密閉される構造などに適用します。
両面を防湿シートで覆われているため、外部からの空気は、側面から取り込み、面内方向にフィルタ―を透過させ濾過し、中央の通気孔から吸気弁を通して着用者に供給します。

帯電電圧の制御

 導体を裏打ちした場合、配線接続により回路を構成することができます。構成した回路は、帯電する電圧や電荷の量などを制御することができ、安全性や粒子捕集能力の維持といった効果を提供します。

回路を構成する部品は、以下のような機能を提供します。

  • コンデンサー
  • 電荷のリザーバーとして、瞬間的な放電などによる電荷の喪失を防止し、一定の電圧を維持し、安定して粒子を捕集することを可能にします。
  • 抵抗またはコイル
  • 放電やショートによる過電流を防止して安全性を期すると共に、電圧低下を緩やかにし、安定して粒子を捕集することを可能にします。
  • アバランシェダイオード
  • 帯電電圧が過大になることを防止する定電圧回路を構成し、着用者への感電を防止することができます。
  • 放電スイッチ
  • 当該マスクを使用しない時やメンテナンス・清掃時のための、回路をショートさせて放電させることにより電荷を消滅させるスイッチです。

湿度・水蒸気対策例 ①

 起電・フィルタ―部を防湿容器で覆ってしまうことにより、着用者の呼気がかかることによる帯電量の低下を防止し、より確実に静電気を帯電できるようにした構造の例です。

 フィルタ―は、樹脂ファスナーにより開閉可能な防湿容器に納められています。
 着用者の吸気時、外気は、外気取込口から取り込まれ、フィルタ―外周からフィルタ―の面内を透過し濾過され、吸気弁を通って着用者に供給されます。
 ここで、吸気弁の開口部の大きさに対し、外気取込口の開口の大きさを絞ることにより、防湿容器内を一定以上の強さの負圧(陰圧)にすることができ、防湿容器を収縮させることができます。防湿容器が収縮すると、内部のフィルタ―も圧迫されます。
 吸気から呼気(排気)に遷移すると、吸気弁が閉鎖しますが、防湿容器は外気取込口から空気を取り込めるため、圧迫されたフィルタ―の復元力により、膨張します。
 このようにして、防湿容器内のフィルタ―は、圧迫(収縮)・復元を繰り返し、起電することができます。


 不使用時は、樹脂ファスナーを開いてメンテナンス・清掃を行うことができます。


湿度・水蒸気対策例 ②

 フィルタ―による流路を長くすることが可能な構造の例です。繊維の密度が小さいフィルタ―を使用する場合に効果的な構造と考えております。

 先ほどの例同様、着用者の呼吸を受けて圧迫・復元を繰り返すことにより起電します。


 展開して清掃等のメンテナンスを行うことが可能です。


湿度・水蒸気対策例 ③

 起電部とフィルタ―部を切り分けることにより、より高湿な環境でも有効に機能させることを可能とした構造の例です。

起電部とフィルタ―部を分離した分、大きさは嵩張ります。


起電ユニット内の起電させる材質間にはスペーサーが挟まれています。これは、互いのせん断方向の移動により材質同士のずれを生じさせないようにするガイドとしての役割を期待しつつ、このようなせん断方向の移動によっても、これらの材質の細かな部位同士に接触・剥離を繰り返させて起電させる効果を期待するためです。

 起電ユニットでは、空気の濾過はせず、起電のみ行います。
起電させる材質を、乾燥空気と共に気密バッグに封入し、外力により気密バッグごと変形させることにより起電させます。
 上述の「ダイヤフラム面内せん断摩擦機構」にて解説した、両側方を牽引することにより起電する機構と同様の原理により起電させますが、ここでは、下図のような機構を用いています。

ばねの部分はゴム紐に置き換えます。面外方向の外力を受けて変形することにより、材質相互がずれて起電します。

 このダイヤフラムの機構は、左右対称の構造であるため、着用時にフィット感があり、左右にずれることを防止できます。
この図では、ダイヤフラムを形成する上側の材質は、中央部で分断されていますが、起電ユニット内に用いたものは、一体の材料として中央部を山折りにしてその両側を引き寄せる構造としています。

 起電ユニットは、左右に伸縮させることで起電する機構を持ちますが、これを可能とするため、気密バッグは、収縮時にしわやたるみを持たせる構造としたり、プリーツ状や蛇腹状の加工としたり、伸縮性の大きな材質により形成します。

 着用者の呼吸を利用してフィルタ―ユニットを前後方向に移動させることにより、起電ユニットを伸縮させ、起電させることができます。
 起電ユニットでは、静電気を起電すると、誘電体内部に発生する誘電分極により裏打ちされた導体シートも帯電します。これらの導体シートと、フィルタ―ユニット内の裏打ち導体シートを電気的に接続させることで、フィルタ―ユニット内も帯電し、空気中の粒子を吸着できるようになります。
 尚、フィルタ―ユニットは、底部に外気取込口を有しています。

 既述のように、静電気は、高湿の環境では帯電することが困難ですが、この構造のように、乾燥空気を封入した気密バッグ内に納めることにより、起電および帯電が可能となります。
 起電ユニットに接続されたフィルタ―ユニット内の導体シートやフィルタ―は、取り込んだ外気に接するため、帯電した電荷を放出させてしまいますが、この放出させる速度より起電ユニットで起電する速度を大きくすることにより、フィルタ―部分では常時帯電した状態を維持することが可能になるものと考えられます。
 このため、起電部は、フィルタ―部からの放電の速度を上回る起電を可能とする大きさとします。

 尚、起電ユニットは乾燥空気を封入して密封することを想定していますが、気密バッグをジップロックのようなプラスチックファスナーにより密閉できる構造として乾燥剤を封入することにより、分解・メンテナンスが可能な構造とすることができます。


気流帯電エアフィルタ―

風道を通過する気流中のカルマン渦による振動を利用して静電気を起電・帯電し、ウィルスを吸着する空調用エアフィルターです。(特許出願中)

ダクト中の気流の振動を利用して起電・帯電する気流帯電エアフィルター

(記事作成中)

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