◆防災技術ラボ

広場型津波救助施設

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みじんこ総研 みじんこ



駅や広場が安全な避難先になります

広場型津波救助装置 避難時の様子

津波からの避難先は津波避難タワーが有名ですが、都市部であれば津波避難ビルとして指定されたビルに避難することになっている場合が多いものと思います。
しかし、自宅や勤務先、外出先からの避難場所をいつも把握している人は少ないのではないでしょうか。
都市部の場合、避難先となるビルは多いものの、いざ津波が襲来したら、指定された避難ビルを見つけることも、そのビルの安全な入口を見つけることも、上階へ安全に避難できる階段を見つけることも、スムーズにはいかないのではないでしょうか。
吹き抜けなどに大階段がある場合でも、建築基準法の防火に関する規定により、直上階までで終わることが多く、そこからさらに上階にアクセスできる階段は見つけにくい構成となりがちです。また、オフィスビルなどの場合、その階段の入り口は小さなドア一枚であることが多く、避難者が殺到すると滞留してしまう恐れがあります。
この場合、避難先のビルにはたどり着いたものの、安全な上階への避難が間に合わず建物内で水に吞まれるという可能性も考えられます。


基本構成

このページで提案するのは、地域において、ランドマークであったり、誰でもすぐ思い出せる公共施設などであって、自由にアクセスできる広場を有する施設(再開発等大型施設では公開空地の設置が必要となる場合が多い)を、不特定多数の避難者が押しかけても安全に避難できる津波救助施設として構成する方法です。

公開空地や広場は、一般に、ビルの周囲やビルに囲われた空間に計画されますが、この提案では、公開空地や広場をデッキ状に一定の高さまで持ち上げ、津波救助装置による大階段で地上と接続して周辺からアクセスできるように計画し、デッキ上からも建築物本体に出入りできる構成とすることで、市街地の大規模な避難先かつ広範囲をカバーできるセーフティネットとして機能できる津波救助施設を形成します。

広場型津波救助装置 構成例1

通常時

広場や大階段は、立体的に空間や眺望の変化を楽しめる解放感のある公共的空間として、この施設の利用者のみならず、近隣地域に憩いや賑わいの場を提供することができます。

商業施設なら、1階のみならず低層階の基壇部全体を外部からアクセスしやすい構成として極力集客力の大きな施設としたいものですが、広場型津波救助施設なら、大階段のデッキにより低層階の基壇部それぞれの階にわたり外部から直接アクセス可能となるため、施設は大きな集客力を得ることが可能となります。また、公開空地による容積率等制限の緩和を受けつつ人の集まりやすい賑わいのある空間を創出することができるため、商業施設には、とても相性の良い構成と言えます。
尚、津波救助装置は透かし階段のように光や風を通すことができるため、デッキ下部は心地良い半屋外空間として活用することもできます。

このように、普段、近隣の住民や地域利用者が馴染んでおくことができるため、非常時の避難施設としても認識されやすくなり、津波の襲来時にも混乱なくスムーズな避難が期待できます。


津波からの避難時

この施設では、階段型の津波救助装置による大階段で上部のデッキにアクセスできるものとしていますので、津波の襲来時には、当施設の避難対象地域のほとんどの人が、安全に上部に避難できる施設だと思い出せるでしょう。また、自由にアクセスできる大階段なら、迷わずデッキ上に上ることができます。大階段であるため、大人数が一度に詰め掛けてもデッキ上に避難することができます。
ひとまずデッキ上に避難すると、デッキ上まで浸水するとしても時間に猶予があるため、出入口前に詰め掛けた避難者の全員がビルに入り上階への避難を完了させることが可能な計画とすることができます。


津波の浸水時

建築物を浸水時の水流の方向に対して45度に振って配置すると、水流に対する抵抗を小さくすることができ、水流から受ける圧力を小さくすることができますが、それだけでなく、漂流中の遭難者を、側方の津波救助装置に誘導することができます。

広場型津波救助装置 水流と漂着の動線



大型駅への適用例

大型駅を、広場型津波救助施設として構成する例を示します。

中核都市などの大型駅は、地上部分をロータリーに、その上部をペデストリアンデッキ(歩行者用デッキ)とし、デッキ上の広場により、線路で分断された地域を接続する構成とすることが一般的ですが、このデッキへのアクセス階段を階段状の津波救助装置による大階段とし、駅全体を広場型津波救助施設とする例を示します。

背景

昨今、南海トラフ地震が起こった場合の大型津波の発生が懸念されていますが、東海道などは太平洋沿岸の平野に沿って大都市や市街地が形成されているため、防潮堤等津波対策施設の整備が急がれています。日本では、沿岸部の平野に沿って幹線となる鉄道が施設されていることが多いですが、これらの線路敷きや駅施設を利用すると、市街地の中心部に巨大な収容能力を持つ効果的な津波救助施設を、また、線路敷きのフェンス状の津波救助装置により当該地域全体をカバーできる長大なセーフティーネットを形成することができます。

広場型津波救助装置 通常時の状態

構成

通常時、駅のペデストリアンデッキは線路で分断された地域を結び、両側の駅ビルに緩やかに囲まれたデッキ上のスペースは、人が集まる賑わいのある広場を創出します。駅ビルは、ペデストリアンデッキ下部の地上部分からも、ペデストリアンデッキ上からもアクセスできる、津波避難ビルでもあります。
この大階段(画像中赤色の部分)は津波救助装置であり、線路に沿った黄色い柵は、浸水時に水流の圧力により回転し傾斜面を形成する津波救助装置です(詳細は構造例のページを参照下さい)。

広場型津波救助装置 通常時の状態

避難計画

津波の襲来時には、一旦ペデストリアンデッキ上部に避難し、その後はデッキ上が浸水するまでの間に、慌てず順番にビルに入り上階へ避難できるため、避難上ボトルネックとなる、ビルやビル内の内部階段の出入口での、避難者の滞留による逃げ遅れを防止することができます。

広場型津波救助装置 避難計画


避難時・浸水時のシミュレーション

避難対象区域からの避難・漂着

避難対象区域からの避難・漂着アニメーション

他の避難施設同様、基本的に、当施設より海側の地域が避難対象区域となります。
計画や設計によっては、駅ビルの1階から建物内に入り、ビル内部の階段を直接上階に避難することもできますが、基本的には大階段をデッキ上に上って避難します。


ビルの外壁による漂流者の誘導

ビルの外壁による漂流者の誘導 アニメーション

駅ビルの外壁面に漂着した遭難者は、水流の方向に対し45度に振って配置されたビルの外壁面に沿ってビル両脇の、津波救助装置である大階段部分に漂着し、大階段を透過する水流に押されて水面に押し上げられ、そのまま大階段を上ってデッキ上部に避難します。


避難計画

避難計画 アニメーション

一旦デッキ最上段に上り、津波避難ビルである駅ビルのデッキ階のエントランスや内部階段入口にて順番を待ち(これらが狭い場合)、上階へ避難します。


フェンスへの漂着・避難

フェンスへの漂着・避難 アニメーション

線路沿いに設置する柵を、浸水時に水流を受けて回転する津波救助装置とする場合、津波襲来時の初期段階での避難先にはできないものの、浸水時のセーフティネットとして機能させることができます。
線路敷きに設置できるため、非常に長大な施設とでき、広範囲な地域のセーフティネットとして機能させることができます。
駅付近の部分に漂着し水面に到達した遭難者は、柵の上部を横方向に伝い、デッキの端部に突き出したテラスに乗り移り、デッキ上に上り、デッキが接続する駅ビルに避難することができます。
駅から離れた部分は、一定の間隔以内ごとに、二次的な避難先となる構造物を設置し、または接続させるように計画し、漂着した遭難者が確実に避難できるようにします。


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