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津波からの避難誘導システム

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みじんこ総研 みじんこ


AI/IoT技術を活用した避難誘導灯による津波や洪水からの避難誘導システム

発生した地震や津波の状況を把握し、AIを用いて迅速に津波の進行予測を立て、避難に活かす研究が進められていますが、こういったIoT技術を活用し、地域住民を光により安全な避難所に誘導する、避難誘導システムの提案です。


津波からの避難誘導システム

避難所に設置した誘導灯の、光の色などの見え方により、その地域からの適切な避難先を示し誘導することで、より安全に避難することを可能とします。


AI/IoTによる津波進路予測

企業や大学等により、AI/IoT技術を用いた、津波発生の際にリアルタイムで進路予測を立てる技術が研究されています。

みじんこ総研の「津波からの避難誘導システム」は、こういった研究成果に期待し、実際に津波や洪水が襲来した際に、対象地域における浸水状況や予想される水流の進行方向等のリアルタイムなデータを活用し、地域の避難所に立てた誘導灯の光り方を信号として、地域住民の避難を適切に誘導するものです。


避難誘導システムの設置について

基本的には、前提として、周囲に複数の避難所があり、避難対象地域から適切な避難所を選択して避難できる地域が対象となります。(一か所しか避難所が無い場合であっても、津波の襲来の警報と進行方向等を知らせる機能は活用できます)

誘導灯は各避難所に設置し、避難対象地域から良く見えるよう、ポールの先端に設置するなどして高い位置に設置します。


避難誘導システムの原理

避難誘導システムは、避難所に誘導灯を配置し、IoTによりリアルタイムに光の色を変化させることにより機能させることができます。

津波や洪水からの避難誘導灯

誘導灯は、調色可能なLEDや、モーターで回転させることで自在な角度に調整可能なカラーフィルタ―により、見る方向によって異なる色の光を放ちます。


津波や洪水からの避難誘導灯/光の方向と色彩の構成

光の色は、方向により、徐々に変化するよう構成しています。例えば、紫、青、緑、黄、赤、といった具合に、光のスペクトルに沿って連続的に変化させています。この例では、左がオレンジ、中央が緑、右が紫となっています。

このように、見る向きにより光の色を変化させることで、色を用いた適切な避難方向の指示が可能となります。

例えば、この例の場合、AIによってリアルタイムに予測される津波の進行方向に対して緑色を向かい合わせる向きに色の方向を調整させます。
津波からの避難は、同じ避難距離であれば、一般に、迫りくる水流に対し、向かい合う方向ではなく、同じ方向、つまり、津波に背を向けて逃げる方向に避難すると、水流にのまれるまでの時間を稼ぐことができ、最も安全に避難できるものと考えられます。
設置した誘導灯の光が緑色に見える避難所を目指すと、このような方向に避難することになり、避難時の安全性を高めることができます。

津波や洪水からの避難誘導灯/地域での避難計画

上図のような状況の場合、避難者から見て避難所A,B,Cはそれぞれ同程度の避難距離となりますが、避難所AやBに避難した場合、途中で水流(青色の矢印)にのまれる可能性が高くなります。
この視点からは、誘導灯の光が緑色(または「最も緑色に近い色」)に見える、避難所Bに避難することが最も安全だと言えます。


付加的な情報提供

先ほどの図では、避難所Aの誘導灯は紫、Cはオレンジに見えますが、避難所が一か所しか見えない場合であっても、これらの色から津波の進行方向を知ることができ、避難の参考にすることができます。
Aのように、光が紫に見える場合、津波は誘導灯に対して左側約90度の方向から、Cのように、オレンジ色に見える場合、誘導灯に対して右側約90度の方向から、津波が襲来している、と捉えることができます。

さらに、誘導灯の光源の面積を把握しやすい形状にしたり、光源やフィルターを、誘導灯の足元に近づくにつれて見える光の彩度を下げる構成とする、といった方法により、避難所までの距離の情報を示し、津波の進行方向の情報と併せて、避難の際の避難所の選定の判断材料を提供することができます。


以下に、ポールの先端と、その一定距離下方の二か所に誘導灯を設置することで、避難所までの距離を目測する方法を示します。
ここでは、誘導灯の上下の間隔を1mとしています。

津波や洪水からの避難誘導灯/避難所までの距離の目測方法

避難者は、誘導灯に向けて手を伸ばし、誘導灯を指さします。

このとき、平均的な体格の人であれば、目から指先まで、およそ80cm程度となります。さらに、指先の厚さは、約1cm程度ではないでしょうか。
指先の厚さと、指の先に見える上下2つの誘導灯の間隔の比率は、【 1cm : 1m 】となりますが、例えば、誘導灯の間隔が指の厚さと同じに重なって見えるのであれば、この比率は、【 目から指先までの0.8m : 目から誘導灯までの距離?m 】と等しくなるわけですので、【 1cm:1m = 0.8m:?m 】となり、誘導灯までの距離?m=80mということになります。

非常にざっくりと、約100mと捉えると覚えやすく、これを応用し、手を伸ばした際の指先何個分(何分の一)に見えるか、または、指先あたりで何cm分に見えるか、ということで、この誘導灯のある避難所までの距離を目測することができます。
このとき注意しないといけないのが、避難所までの距離は、指先の厚み何個分(または何cm)に見えるかという数値に対して、先ほどの100mを掛けるのではなく、この数値で100mを割る、または、100mにこの数値の逆数を掛ける、ということです。例えば、指先の厚さの5分の1または2mm(=1/5cm)に見えた場合、逆数の5を100mに掛けて得られる、500mが、避難所までの距離ということになります。これとは逆に、例えば、誘導灯の間隔が、指先の厚さの3倍の大きさまたは3cmに見える場合、100mを3で割る、または、1/3を掛けて得られる、33mが、避難所までの距離ということになります。


以上により、津波の進行方向を伝える方法や、避難所までの距離を目測可能とする方法を解説しましたが、後述する警報の点滅の周期を短くする等により、浸水までの猶予時間を知らせる、といった事も可能です。

これらにより、事前の訓練や認識は必要となりますが、危険が差し迫った状況であっても、感覚的かつ瞬時に状況が把握できるようになり、避難を成功させる可能性を高めることができるものと考えております。


警報の方法

津波や洪水からの避難誘導灯/警報の点滅例

上述の色彩による誘導だけでは感覚的に警報として認識されにくいため、赤色の点滅を交えるなどにより非常事態を伝え、有効に避難を促します。


有効性について

実際の津波襲来時の避難の安全性については、避難所までの道のり、避難所自体の安全性や道中の混雑状況などの様々な要因があり、一概に言い切れませんが、当該システムによる誘導灯の光の色は、安全な避難先を選定する有効な指標になり得るものと考えております。


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