空調・換気についての基礎知識

 空調・換気設備に関する一般的な基礎知識について解説します。

空調方式の種類

 空調方式には、様々な種類がありますが、ダクトや気流に関する分類としては、中央方式と個別方式があります。
 中央方式は、一般に、大規模な建築物に適用される方式で、空調機械室などに設置した空調機等により外気や還気(一度給気された空気を回収して再利用される空気)を加熱または冷却し、濾過・調湿してダクトを経由して各所に供給する方式です。空調機には、別途屋外空間に熱源ユニットが必要になります。個別方式は、家庭のルームエアコンのように、その場所で直接空気を加熱または冷却し、吹き出す方式です。家庭でもおなじみのルームエアコンや、同様の構造のPAC(パッケージエアコン)、冷温水配管に接続されるFCU(ファンコイルユニット)などがあります。これらの機器は、換気機能を持たないため、別途換気設備が必要となります。
 かつて大規模建築物では、省エネ等の理由により、中央方式とすることが一般的でしたが、PACの省エネ性能の向上や個別制御の利便性により、室外機の設置の都合が付かない場合を除き、PACが採用されることが多くなりました。
 また、中央方式を採用する場合であっても、窓際等の熱負荷の大きな場所の冷暖房を補うため、一般に個別方式を併用します。
中央方式の場合、空調設備は換気設備を兼ねており、新鮮な外気(または回収した還気に外気を混ぜた空気)を、加熱・冷却・濾過・加湿して給気します。

換気方式の種類

 換気方式には、以下の3種類の方式があります。

エアフィルタ―・濾過

 空調機のエアフィルタ―には、不織布やグラスウール等のフィルタ―として、一般的な製品の他、実質的にウイルスの大部分を遮断できるとみられるHEPAフィルタ―や、ほぼ全てのウィルスを遮断できるULPAフィルタ―があります。この他、イオナイザーと電気集塵機の原理を用いた空気清浄システムもあります。
 再飛散防止の処理がされていないフィルタ―を使用している場合、交換作業の際に、フィルタ―に付着したウィルスが飛散してしまう可能性が考えられます。作業者の方は、N95以上のマスクやゴーグルにより、十分に感染を予防することが肝要ではないかと考えます。

 ※みじんこ総研では、「気流帯電フィルタ―」という、フィルタ―の構造を考案しております。別途考案した「気流帯電マスク」同様、気流の圧力変動のエネルギーを利用して静電気を起電し、フィルタ―に帯電させ、ウィルスを含む粒子を吸着させるものです(特許出願済)。オープンイノベーション等による共同開発パートナー様を募集中です。

熱交換器

 春・秋は中間期と呼ばれ、外気が適温に近いため、換気を十分行うことで冷暖房に代えることができますが、冷暖房が必要な夏や冬は、換気により室内の涼しさや温かさを排出してしまい、エネルギーのロスになってしまいます。 省エネルギー化の為には、換気設備に熱交換器を設置し、排気中のの温熱または冷熱(熱や冷たさ)を、吸い込んだ外気により回収させることが効果的です。

省エネに効果のある置換空調システムの構成

省エネルギー上効果的な置換空調の構成例

 空調・換気に用いられる熱交換器には、熱交換方式として全熱式・顕熱式があり、熱交換ユニットの構造として回転式・静止式があります。感染防止の見地からは、顕熱式かつ静止式の熱交換器とすることが理想的ですが、空調衛生工学会の見解によると、全熱交換機(静止式)の場合であっても、排気中に含まれるウィルスが、取り込まれた外気に混入する割合は小さく、感染への悪影響はほとんどないものと見られています。


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