◆防災技術ラボ

天井裏生存空間

[English]

みじんこ総研 みじんこ

天井裏を、津波や洪水時の待避スペースにする提案です

 津波等水害のおそれのある地域では、津波避難タワーや安全な避難所が近くに無い場所での避難方法が課題となっています。

 現在、個人で購入・設置可能な避難施設や装置として、避難カプセルや地下シェルター等が提案され販売されていますが、みじんこ総研が提案する「天井裏生存空間」は、天井裏に空気だまりを形成して待避する、とてもシンプルなものです。

天井裏生存空間

 簡易に設置できる天井裏生存空間により、避難が困難な立地や状況であっても確実に避難できるようになるため、大勢の方々が逃げ遅れずに済むようになるものと考えております。

概要

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 これまでも空気だまりによる避難施設が提案されていますが、みじんこ総研の天井裏生存空間は、デッドスペースとなりがちな天井裏を活用するため、特別な施設の建設や設置スペースが不要で、非常に簡単に形成できます。

 ※天井裏生存空間は、設置する建築物や設置個所が破壊されないことが大前提となりますので、津波避難ビル等、水流に対して倒壊しない構造を持つ鉄筋コンクリート造等の建築物が設置対象となります。

 とりわけ大きな建築物の場合、天井で梁ごと覆ってしまうことが多く、覆われた天井裏にはこれら梁、ダクトや配線配管がありますが、天井裏の容積の大部分はデッドスペースとなってしまいます。このため、これらダクト等の設備を迂回させることで、天井裏には、まとまったスペースを創出することができます。

 また、天井裏は、基本的に直上階の床スラブおよび梁や壁に囲まれた空間となっているため、これらの内面にFRP等により防水層を施工することで、水害による浸水時に空気だまりを形成することができます。

 形成された空気だまりの中に待避床があれば、浸水時にその待避床上に待避しておくことができます。
このようにして、天井裏生存空間を形成することができます。

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ロフト生存空間

 天井裏生存空間は、階高に余裕がある場合、ロフトとして構成することもできます。

見てみる ロフト生存空間

 通常時、ベッドとして利用する場合、津波等の襲来時に気づかずに寝ていても、そのまま待避できるため、条件によっては人的被害を大きく縮小できると考えております。

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待避床格納式生存空間

 ロフト生存空間で示した図のように、生存空間の開口を一か所に限定して閉鎖的な構造とすると(後述するような利点もあります)、内部に湿気がこもりやすくなるため、通常時の利用には不向きとなります。また、設置する部屋や空間の天井高を圧迫してしまいます。このため、みじんこ総研では、待避床を格納式とし、通常時は開放的に利用できる構造も提案しています。(特許出願中)。

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落下式

待避床格納式生存空間(落下式)

 待避床を、通常時は上階スラブ下面に格納しておき、避難時に落下させて生存空間を形成します。

 上図は構造の概念図ですが、実際の計画に当たっては、通常時にスッキリした納まりとなるデザインとすることができます。


回転式

待避床格納式生存空間(回転式)

 回転して待避床を展開させます。
天井が高い吹抜け空間や、見込まれる避難者の人数が少なく待避床を小さくできる場合に適用しやすい方式です。メンテナンスが容易な構成とすることができます。


折畳式

待避床格納式生存空間(折畳式)

 カーテンを引くように簡単に展開可能な、簡易なタイプです。


その他

 この他にも、スライド式など、設置条件に合わせて選択できるよう、様々なタイプを検討しています。



リフォームによる待避床格納式生存空間

 既存の建物であっても、必要な耐力を有する鉄筋コンクリート造等であれば、簡単な工事で天井裏生存空間を形成することができます。
※但し、生存空間を囲む壁面や天井面の下地は鉄筋コンクリート造等とし、防水施工する必要があります。

凹凸部活用例

 アルコーブなどの凹凸がある場合、垂壁の追加により簡単に生存空間を構成できる場合があります。

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 周囲が十分な強度を持つ構造壁であることが条件となりますが、壁面にアルコーブなどの凹凸がある場合、垂壁の追加により簡単に生存空間を構成できる場合があります。

アルコーブ上部生存空間

廊下上部活用例

 廊下は、構造壁に囲まれている場合、必要な大きさ(長さ)の生存空間を自由に形成できる場合があります。

見てみる 廊下上部生存空間

 壁式鉄筋コンクリート造の建築物は、建築計画時に窓や扉などの開口の大きさが制約されますが、その分垂壁が大きく、下端の高さがおよそ揃うことが多いため、大きな空気だまり空間を形成しやすく、また、梁が飛び出してこないため、すっきりまとまった生存空間を形成できます。

 廊下の天井裏は、集合住宅の場合、ほとんどデッドスペースとなり、自由に利用できる場合が多いですが、商業施設やオフィスビル、ホテルなどの場合、一般に、ダクト等が集中するため、活用は困難かと思われます。


おトイレ活用例

 「おトイレ行っといれ」という格言を耳にしたことのある方は多いのではないでしょうか。
色々と緊急時はトイレに駆け込めば何とかなるといいな、という皆様の夢を実現できるかもしれません。

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 トイレの上部に回転式の網棚状の待避床を設置して生存空間を構成した例を示します。

リフォームによる待避床格納式生存空間

 通常、トイレは四周全てを頑丈な耐力壁等に囲われているわけではないため、新たに下地垂壁を追加しています。


トイレ天井裏生存空間

 同様に、壁や垂壁に囲まれる押し入れなども活用しやすいと言えます。

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ユニットバス生存空間

 ユニットバスの上部を利用した生存空間です。(特許出願中)

見てみる 生存空間付ユニットバス

 どのみち防水構造となるユニットバスの上部を、大きな圧力に耐え空気だまりを形成できる構造とし、簀子状の待避床を設けることにより、生存空間を構成します。
簀子状の待避床は、通常時は洗濯物やタオル等を干すハンガーラックとして利用できます。


ユニットバス生存空間

 条件によって空気だまりの容積が不足する場合、外部に設けた酸素(圧縮空気)タンクから換気扇を通して酸素(空気)を供給することができます。


ユニットバス生存空間アニメーション

 津波等による浸水時、建物内部を強い水流が透過してユニットバスの下部が破壊されても、強固な生存空間は待避中の避難者を守り続けます。



階段室最上部生存空間

 屋内階段の階段室の最上部に設ける、天井裏生存空間です。

見てみる 階段室上部生存空間

 天井裏生存空間に共通することですが、天井裏生存空間周囲の浸水深が大きくなると、水圧により、待避者の健康状態に悪影響があり、また、水位が上昇して空気だまりによる生存空間が圧縮されるため、生存空間は当該建築物の中で極力最上部の天井まわりに設置することが望まれます。また、津波等の襲来時、在館者は上方に避難するため、避難経路の末端である、階段室の最上部に生存空間を計画すると、合理的に構成することができます。

 津波の襲来に耐えるよう計画された津波避難ビルであっても、実際の浸水深に対し十分な高さが無い場合、ビル全体が浸水し、在館者は水にのまれることになります。建物の高さが十分にあり、大気中でやり過ごせるに越したことはありませんが、階段室の最上部に天井裏生存空間を設けることにより、ビルが丸々沈んだ場合に備えることができます。

 従来の階段室の階段は、屋上床レベルまでしか接続されませんが、階段室最上部生存空間は、屋上への出入口や開口部より上方に空気だまりおよび待避床を形成するため、この待避床までの階段または梯子を設置します。

 尚、従来の一般的な集合住宅の場合、共用階段が外階段であり、最上階までしか接続していないため、最上階の、階段や共用廊下上部の垂壁や梁と屋根スラブに囲まれた区画を利用して生存空間を形成することになります。

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鉄道駅

 ~ホーム上部天井裏の活用の提案~

 鉄道駅の上部に跨線橋や駅舎等の施設がある場合、これらの下面の梁や桁に囲まれた空間を活用すると、合理的に天井裏生存空間を形成できます。

見てみる 駅上部天井裏生存空間

 鉄道は通常、平地に敷設されるため、駅の立地は、水害時に浸水被害を受けやすい場所であることが多いかと思量されます。

普通の駅

 また、電車の運行中、地震により津波が発生した場合の対応は、鉄道会社や地域により異なるようですが、基本的には付近に停車し、乗客を避難させる手筈になっているようです。東日本大震災の際は、鉄道会社の避難計画や、津波襲来まで一定の時間の猶予があったことにより、鉄道乗車中の(車内に居た状態での)犠牲者はいなかったそうです。

 しかしながら、南海トラフ地震等、今後の津波防災については、安全な避難が課題になっています。通常、ローカルな鉄道路線のほとんどの区間で避難所は十分に存在せず、停車した場所から避難所に到達するまで時間がかかってしまうようです。
 仮に最寄りの駅まで走行したとしても、そこが大規模な市街地であれば十分な高さのある津波避難ビルもあるかも知れませんが、ほとんどの駅では周囲に避難所すら存在しないのではないでしょうか。また、駅付近に避難所があったとしても、駅まで移動した後に当該避難所に避難するまで十分な時間があるとは限りません。
 さらに、地の利のない不特定多数の乗客や駅利用者にとって、駅周辺の避難所にスムーズに避難することは、とても困難だと思われます。

 そこで、水害発生時に浸水するおそれのある駅に、共通仕様として、上述のような待避空間を設けておくと良いのではないかと考えております。

 尚、駅のプラットフォームは開放された空間となっているため、浸水時に水流を受け流すことができ、一般に、上部構造部分の規模が大きくなるほどピロティ部分の構造耐力も大きく見込まれているため、待避空間の設置に適していると言えます。
※逆に、ホーム間の移動のみを目的とした旧来の簡易な跨線橋などは、スラブの保持力等の耐力が不足するのではないかと思われます。


駅上部天井裏生存空間に最適

ここなんか…もう…大勢が安全に待避できそうです。

 上の写真の場合、せい(高さ)のある桁・梁により、平面的に細かく仕切られ、多数の空間が形成されています。このような形状の空間を生存空間とすると、浸水時に水流による波や水面の乱れによる影響をほとんど受けず、理想的な待避環境を提供することができます。
奥に見えているケーブルラックは、津波襲来時に通電を遮断することにより、展開させて梯子に活用したり、待避床とする、といった兼用方法が考えられます。

 さらに、みじんこ総研が提案する、「高齢者や身障者の避難や救助のための引き上げ装置」を設置すると、もれなく避難できるようになります。

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地下施設の生存空間

  大規模な施設の地階や地下街、地下鉄のコンコースやトンネル内などの天井付近に生存空間を設けると、ゲリラ雷雨や河川の氾濫などにより当該地下施設が急激に浸水した場合に、地上に逃げ遅れた施設利用者が緊急待避しておくことができるようになります。

見てみる 地下施設の生存空間

 天井付近を、一定間隔ごとに垂壁状の隔壁で隔て(梁や防煙垂壁を兼用すると合理的です)、防水層で被覆するだけで、当該地下空間が浸水した際に空気だまりが形成でき、水面を漂う遭難者が呼吸できる空間が形成できます。さらに、避難床および避難床に避難するための梯子を備えると、より確実に避難でき、当該地下空間内で強い水流が発生してもさらわれずに待避しておくことができます。

 地下鉄施設等の場合、待避床は、通常時、鳩やコウモリ、ネズミの糞などにより汚染される可能性があり、漏出する地下水や湿度への対策も必要なため、格納式としておくことが望ましいと考えます。

 このような、逃げ遅れた人のための生存空間を適切に計画し配置することにより、都市の地下空間を、首都圏外郭放水路のように、都市の調整池として利用する可能性も考えられます。基本的に、地上が浸水して地下空間への水の流入を防ぎきれない場合に限定されますが、大都市であれば地下空間は膨大な容積を持つため、地上を安全に保つ最終手段となり得るかも知れません。

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天井裏生存空間の共通事項その他

空気だまりによる避難施設のメリットとデメリット

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メリット

 避難カプセルや水中で待避するシェルターは、出入口のハッチに完全な気密性が要求されます。また、固定構造物であれば、水中で待避している間、内部空間の気圧と外部空間の水圧との差が大きくなり、漂流物の衝突や水流による荷重の他、浸水深による大きな水圧に耐える強度が要求されます。

 ところが、空気だまり空間による避難施設は、出入口を開放したまま構成でき、空間内の圧力と、外部の圧力がおよそ均衡するため、圧力差への対応としては、それほど頑丈な構造とする必要がありません(但し、形成される空気だまりの高さ分の水圧(=空気だまりの浮力による圧力)が作用するため、少なくともこの荷重に耐える強度が必要となります)。このため、鉄筋コンクリート造等の建築物の天井付近の空間を活用することができ、天井裏部分を防水施工して待避床を設けるだけで、簡単に水中で待避可能な空間を形成することができます。

その他、

  • 上記により、専用の避難施設の建設やスペースの確保が不要となります。
  • 自宅や日常の生活空間内に形成させることが可能なため、地域指定の避難所が遠い場合も迅速な避難が可能となります。

 これらにより、現在社会で認識されている津波や水害に関する防災上の重大な課題について、少なくとも一定程度は解決または緩和できるのではないでしょうか。


デメリット

  • 設置対象の建築物等は、津波等の浸水時、水流や浮力等の外力に対し一定以上の強度を有することが条件となります。
  • 浸水時間が長くなり酸素残存量が不足した場合、当然、待避中の避難者の生命や健康への重大な影響があります。
    (酸素濃度の低下は、脳にも重篤なダメージを与える可能性があります)
  • 条件により、減圧障害や酸素中毒および窒素中毒発症のおそれがあります。
  • 空気だまりによる避難施設は、基本的に防水層や躯体の強度に依存するため、躯体の一定以上の変形やひび割れに防水層が追従せず破断した場合、空気が漏出し、待避中の避難者が危険な状況に晒される可能性があります。

 このため、避難時間に余裕がある場合は、まず、高台や、十分な高さや強度を有する指定の津波避難ビル等に避難することを第一とし、避難時間が不足する場合の補助的な手段として空気だまりによる避難施設への待避を想定しています。


避難用の梯子について

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 待避床に上るには、梯子や階段が必要となりますが、緊急時に安全に上がって避難できるのであれば、脚立等とすることもできます。
また、収納家具を兼用した階段としたり、ラック状の固定棚の棚板の先端を梯子に利用できるようにすると、通常時にインテリアや実用を兼ねることができます。
但しこの場合、通常の家具をそのまま流用するのではなく、専用設計により安全性を確認された造作とすることが大切です。



待避床について

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 待避中、避難者が水に浸かっていると、水位によっては呼吸に危険を及ぼし、寒い時期であれば、体力が奪われてしまいます。このため、待避床は、極力避難者が濡れないような構造とすることが望まれます。

 このためには、待避床を、

  1. 極力天井に近い高い位置に設ける
  2. 防水構造の舟状の形状とし、水面が周囲の立上りを越えるまで待避床上が浸水しないようにする
  3. さらに、生存空間の端に寄せて設置し、開口部を、出入口の部分の一か所にまとめることにより、生存空間下方を透過する水流の影響による、局所的な水面上昇の影響を受けないようにする
  4. 防水構造ではないが、板状としたりプレートをあてがうなどにより、水面の渦や波等の局所的な影響を受けないようにする
といった構造にします。

 尚、天井裏生存空間は、周囲の浸水深が大きくなると、空気だまりが圧縮され、生存空間内の水位も緩やかに上昇しますが、2や3の構造とした場合、水位の上昇は、より急速になるため、立上りを十分に大きくしたり、開口部の下端を下げて空気だまりの容積を大きくするなどして、立上りを越流させないようにします。基本的に、2や3の構造は、浸水深がそれほど大きくならない地域や、津波以外の水害に、より適していると言えます。

 また、酸素または圧縮空気のタンクを備える場合、浸水深の上昇に合わせて酸素または空気を供給することで、空気だまりを圧縮させず、待避床上を浸水させない構造とすることもできます。


人体への影響について

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 計画に際しては、予想浸水時間・浸水深、見込まれる待避者の人数、形成される空気だまりの容積等の条件を考慮した、酸欠の危険性の評価が必須となります。
他の避難施設と異なり、待避空間の内圧は、およそ外圧と均衡するため、浸水深が大きくなるにつれて、内部の気圧が大きくなります(このとき、内部の空気は圧縮され気積は小さくなっています)。このため、通常自然界に存在しない高気圧かつ気圧の変化速度の環境下での酸素消費量の評価が肝要となります。
空気だまりの酸素量の不足が予想される場合は、酸素または圧縮空気タンクの設置が必要です。

 また、浸水深が一定以上大きくなる場合、待避中の避難者の身体への影響も考慮する必要があります。例えば、浸水深が20mの時には、内圧は3気圧にも達するため、空気タンクに酸素及び窒素分圧の大きな混合空気を用いる場合、これらによる中毒発症の危険性があり、逆に、急激な水位低下が発生すると減圧障害発症のおそれがあります。とりわけ、飲酒時は危険性が高くなります。

 実施にあたっては、これらの影響を適切に評価し、場合によっては、他の避難方法を検討することが望ましいと言えます。



構造計画について

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設置対象となる建築物等について

 基本的に、建築物などの一部分を活用する方法なので、当該建築物が倒壊してしまっては元も子もありません。このため、津波等の浸水時、水流や浮力等の外力に対し一定以上の強度を有する建築物等であることが条件となります。
※およそ津波避難ビル(平成23 年11 月17 日付け国土交通省住宅局通知及び津波防災地域づくり法に規定する避難施設に係る技術基準(平成23 年国土交通省告示第1318 号)による「津波避難ビル等の構造上の要件に係る技術基準」に即する建築物等)の要件を満たす強度を持つことを基準として想定しています。

 集合住宅など、各階に生存空間を設けた場合、当該建築物全体に作用する、生存空間による浮力は大きなものとなるため、当該建築物全体の浸水時の倒壊の危険性は大きくなります。

 いずれの構造とした場合も、構造計算により、当該建築物および生存空間が浸水時に破壊されないことを確認する必要があります。

設置箇所周囲の構造躯体について

空気だまりを活用する生存空間は、当該生存空間を構成する直上階床スラブおよび梁・壁に対し、浮力による、正圧となる圧力を作用させます。当該圧力は、生存空間が完全に水中に浸水した瞬間が最大となりますが(浸水深による静圧が小さく空気だまりがほとんど圧縮されていないため)、このときの空気だまりの高さが1mあれば、空気だまり最上部(上階床スラブ)には1t/㎡の荷重が発生します。

 鉄骨造の場合、通常の構法により架設されたデッキプレートによる床スラブは、上向きの大きな荷重に対抗できないため、梁上にスタッドを溶接した合成梁などとする必要があります。

 また、RW吹き付け上に防水層を形成するのではなく、ALCやPCaなどにより鉄骨梁を被覆し、これらを下地としてFRP等による防水層を施工します。


防水層の材料・工法について

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 空気だまりを形成する防水層には、空気だまりの下方以外は、完全な気密性・水密性が要求されます。
このため、防水層は、通常の屋根防水に使用するような、継目を設ける材料や工法(一定の重ねを通る場合も含む)ではなく、現場施工により完全に一体的な防水層を形成する工法が適切と考えます。

 また、浸水時、水流等により大きな荷重を受けることにより、躯体に大きな変形が発生する可能性があります。防水層は、これに追従して破断しない材料であることが必要となります。

 そこで、単独でも大きな強度を発現できる良好な機械的性質を備えた、FRPやポリウレアの採用が最適であると考えられますが、鉄筋コンクリート造ならばクラック、鉄骨造ならば取り合い部分の断裂といった下地の変形に追従させるため、さらに絶縁工法とすることが肝要と考えます。

 尚、浸水時に形成される空気だまり内は基本的に正圧となるため、防水層の下地との付着強度については、さほど高水準は要求されないと考えますが、待避床から立上りを設け、これらに水密性・気密性を持たせる場合は、当該部分の防水層に負圧が作用するため、当該防水層が剥離しないよう押さえを設けたり、確実な付着強度を見込む必要があります。


実際の計画・施工について(標準化および社会実装)

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 天井裏生存空間は、現在の技術でも構成することは可能ですが、津波襲来時の浸水深や水位変化速度の予想および確度といった外的な要因、空間内での人体への影響、構成する空間及び構造方法などについての、評価・検証および安全性の確認・確保を行うことが必要であると考えています。

 また、既存の技術のみならず、特許工法を含む国内外の防水施工法やASTM等による品質確認方法等を流用することにより、技術的な性能および安全性を向上させ、総合的な評価・設計・施工・品質管理方法を確立し、標準化することが重要と考えます。

 その他、天井裏生存空間の実施には、弊社を含む複数社(者)による特許や特許出願技術が関係しており、これらの適用の有無といった整理も必要となります。

 このため、みじんこ総研では現在、関連する各業界の主要な企業様や団体様等と連携を取りながら、社会実装に向けて、技術的な検証を進め、計画・設計・施工方法の標準化および及びガイドの発行を目指しております。


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